3.17.2010





いくつかの眠れない夜を越えていくと、夢を見るには暗闇が必要だと気がついた。瞼を閉じ、外を遮断した肉体的な夜。そこに、意識の奥底からぼんやりと幻想的な影絵が映し出されるのが夢なんだと。

それからさらに寝苦しい夜が続き、ある朝、なんとか気分を一新しようと、ぱりっと新しい明るい色のシャツをクローゼットから出し、着て鏡の前に立つ。しかし鏡にうつる自分の姿は、肌が砂漠のように乾ききって、眼が落ち窪み、新しいシャツさえなにかぱさぱさとして、精気の感じられない顔だけが強い印象を残している。痛々しい気持ちでじっと見つめながら、暗闇自体が夢なんだ、夢自体が暗闇なんだ、という声が耳の遠くで。

昨夜、街角で幻灯機を使った見せ物をやっていた。立ち止まりその幻光を眺めていたが、湧き上がってくる夢の記憶がとうとう底をついたようで、その装置はただぼんやりとした光を放つ子供だましの玩具にしか見えず。

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